作業療法士は最高に楽しい職業です。アメリカでは、なりたい職業ランキングの上位で、オックスフォード大学の研究ではこの先、自動化され難く、無くならない職業10選にも選ばれた作業療法士とは?一体どういう療法でしょうか?また、作業療法士とはどのようなことをする仕事でし
・将来の仕事をお悩みの中学生や高校生、そのご両親
・作業療法士を目指している方、お子様に作業療法士をとお考えのご両親
・作業療法士が少し気になっていたり、すでに興味のある中学生や高校生
・作業療法と理学療法の違いを知りたい医療福祉関連職の方
など
作業療法士(OT)として20年以上の臨床経験を持つぬーさんが作業療法のことをお伝えいたします。このページで少しでも作業療法に対する興味や理解が進むと嬉しいです。このブログでは患者さんのことをより広く捉える観点から対象者と表現しています。ご了承ください。
作業療法(Occupational Therapy:OT)とは?
作業療法を行うためには国家試験に合格する必要があります。合格すると晴れて作業療法士(Occupational Therapist)となれるのです。これは、理学療法(Physical Therapy:PT)を行う理学療法士(Physical Therapist)や言語聴覚療法(Speech Therapy:ST)を行う言語聴覚士(Speech Therapist)と同じです。また、医師や看護師、レントゲン技師、臨床工学技士なども同じです。 ちなみにOTという言葉は作業療法(Occupational Therapy)と作業療法士(Occupational Theraist)の両方を指します。
リハビリテーションと聞くとどのようなシーンを思い出されるでしょうか?一般的なリハビリテーションのイメージは平行棒(手すりの様なものが2本あるもの)の中で歩く練習をしている姿だと思います。私達、作業療法士も歩行訓練をすることがありますが、一般的に歩行能力を高める身体機能訓練は理学療法士が行います。
作業療法の「作業(Occupation)」とは?
作業療法は「人は作業を通して健康や幸福になる」という基本理念に基づいています。作業とは手作業などの折り紙、ちぎり絵、木工や籐細工などをイメージされることが多いです。しかし、作業療法における作業はこれらの手作業だけではありません。食べたり、排泄したり、着替えたりなどの日常生活活動(ADL)も含まれます。さらに、ご飯を作ったり洗濯したりなどの家事活動や生活費を稼ぐためであったり、社会的な役割を担ったりすることなどの仕事なども含まれます。さらには楽しみである趣味や遊び、人との交流、なんと眠ることや休養までもが作業に含まれます。これらの作業のことを生活行為と言い、作業療法でいう作業(Occupation)はこの生活行為のことを差します。
私達が健康で幸福に、言い換えると「元気」に存在することができるのは、日々の暮らしの中での様々な作業を行っているからです。食べたり、トイレに行って排泄したり、着替えたり、お風呂に入ったり、料理をしたり、掃除をしたり、遊んだり、飲み会に参加したり、大好きな人とデートしたり、趣味活動をしたり、仕事に行ったり、眠ったりなどの作業をバランスよく行っています。これらの作業は「できるようになりたい・したい作業」だけでなく、「できる必要のある作業」、「しないといけない作業」、「できることが期待される・周囲の人々がすることを望んでいる作業」に分けられます。これらをバランスよく行うことで「元気」でいることができるのです。
例えば
定年退職で仕事を辞めた場合を考えてみましょう。仕事という「しないといけない作業」であり、「したい作業」でもある作業を奪われることで、急に老け込んだりしてしまうことが有ります。したい作業ばかり行える状態となり、作業のバランスが崩れたからとも考えることができます。以前のコロナ禍や災害時の避難所暮らしなど、身体や精神は元々、健康なのに作業バランスを崩されたなんて経験もあるのではないでしょうか?コロナ禍では外食は制限され、夏祭りなどのイベントもことごとく中止となりました。行きたいところに行けないということで精神、心理的な影響を受けました。高齢者などの場合はそれだけではなく、外出機会という作業を奪われたことにより足腰が弱ってしまうなどといった身体機能面にも影響を受けることもありました。人が様々な作業をバランスを保っているということは普段、無意識に行っていることですが意外に大切なことなのです。
作業療法士(OT)の活躍の場所
多くは一般病院や精神科病院、高齢者のデイケア、デイサービス、老人保健施設、療育園や児童デイサービスなどの子どもの施設などで活躍しています。他には少数ではありますが役所や学校、受刑所などでも働いている方が居ます。
対象となる疾患
一般病院:脳梗塞や脳出血、骨折、肺炎、心不全、心筋梗塞、様々ながんなど
精神科病院:統合失調症、うつ病、認知症など
療育園や児童デイ:広汎性発達障害、自閉症、脳性麻痺など
高齢者のデイケア・デイサービスなど:上記のような様々な病気やケガ、痛みなどを抱えていたり、病気やケガはないが今後、暮らしに問題が出てくる可能性のある高齢者など
他にも地域の子ども達、そのお母さん、受刑者など、病気はないけど支援を必要とする方々に対するリハビリテーションを提供します。また、年を取って高齢者になるだけでも暮らしに様々な障害を負ってしまうため、こういった方々も対象となります。最近では企業の社員の健康についてのアドバイザーであったり、転倒などのリスクから事前に予防する安全な住宅づくりのアドバイザーなど企業を顧客とする作業療法士も存在しています。
対象年齢は新生児から高齢者まで様々です。私の経験では生後6か月の赤ちゃんと100歳を超えた方を同時期に担当したことがあります。なんとその年の差は1世紀です。これら対象は様々ですが、することは少しでもWell-Being(健康で幸福な)な状態へ導けるようすることとなります。
作業療法ではどのようなことをするのか?
人は作業をすることで元気になれます。作業療法は病気になってしまった対象者や障害を持ってしまった対象者を元気へ導くことが仕事のひとつです。
ある身体機能が低下し、できなくなってしまったことがある場合。身体機能を高めることで再びできるように導くこともあります。身体機能を高めることができないと判断されたり、どの様に身体機能を高めても作業(生活行為)ができない時には物や環境を変えて、できるようにすることもあります。例えば、小学生の子どもを持つお母さんが脳梗塞で障害を負ってしまったとしましょう。右手右足が動かなくなったとします。右手右足を動かす練習もしますが、発症前の様には戻らなかったとします。作業療法士(OT)はそれでも、元気になれるようにアプローチします。片手で料理ができるようにまな板を工夫したり、フライ返しを工夫したりします。料理という作業を行えるようにアプローチするのです。このお母さんは料理という作業(生活行為)を通してお母さんとしての役割の一部を担うことができ、Well-Beingな状態、つまり、元気を取り戻すことができるのです。
ぬーさんの経験
私が有資格者となって20数年間で経験してきた仕事の内容を列挙してみます。作業療法士の養成機関(専門学校)での教員や講師、療育園、重症心身障害者施設、ワークセンター、デイサービス、一般病院、子育て支援事業への参加、乳幼児健診への参加、地域の保育園に出向いて療育支援等事業への参加、特別支援学校や地域の小学校での支援事業への参加、地域の自立支援協議会の構成員、介護老人保健施設の助っ人、在宅での訪問リハビリ、介護予防事業の講師、個別ケア会議への参加などです。さらに作業療法士の有資格者の研修の企画や運営なども実施してきました。一見転職しまくっているように見えますが、転職は1度しかしたことがありません。それぞれ要請に応じて対応した結果です。作業療法士は様々なところで活躍することができます。私個人が大事にしていることは、対象は様々ですが、障害があろうがなかろうがどの様にアプローチすれば、サービスを提供する人々が少しでも元気になれるのか?ということです。
まとめ
簡単かつ、分かりやすく作業療法を解説いたしました。作業療法は作業に着目します。作業とは人が暮らしの中で行う生活行為を指します。作業療法士は病気やケガになった患者さんや、発達障害をお持ちのお子様、身体機能が低下したり、認知症を抱えた高齢者、こころの病を患った方を対象とします。作業療法のいうところの作業とは食べたり、着替えたり、料理をしたり、洗濯したり、飲み会に参加したり恋愛や趣味活動を楽しんだり、仕事をしたりなどです。人はこれらの作業のバランスが保たれていることで、元気に過ごすことができます。これらの作業ができなくなってしまった時に、再びできるように筋力増強訓練、神経筋再教育(運動学習など)、歩行訓練などの身体機能訓練を行うこともあります。しかし、対象者の病気やケガの部分だけを捉えるのではなく作業を捉え、筋力が無くてもできるように道具を工夫したり、やり方を変えたり、環境を変えることでその対象者の役割や価値を再び獲得したり、保つようなアプローチを行います。つまり、対象者の暮らしそのものを支えるのです。沢山の方々に作業療法に興味を持っていただけると嬉しいです。最後までお読み頂きありがとうございました。

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